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週刊 IT ニュース&コラム 2004/6/21
携帯電話が電子マネー普及の切り札となるか

2004年6月16日、NTTドコモは、ビットワレット株式会社の電子マネー サービス Edy の FeliCa を搭載した携帯電話 P506iC, So506iC, SH506iC, F900iC が発表した。サービス開始は7月上旬。

電子マネーは、かなり以前から近いうちに実現できる技術と期待されて きたが、なかなか普及していない。 技術的には、クレジットカードに 似ているので、技術的な壁よりも、いかに使える店が増えるかどうか にかかっている。 Suica で定期券が非接触型ICカードの普及を一気に 促進し、最近JRの構内の多くの店で電子マネー機能付き Suica が使える ようになってきて、その波に乗る形で携帯電話に搭載された。

Suica の電子マネーは、プリペイドカードだ。あらかじめ Suica 対応 切符販売機で払っておくものだ。 定期券が先払い方式なので、電子 マネーもプリペイドにするのは自然で分かりやすい。 一方、FeliCa 搭載の携帯電話は、クレジットカードだ。 通話料金が後払い方式なので、 FeliCa 搭載の携帯電話も後払い方式だ。 先払いか後払いのどちらが 安全か、どちらが消費者に好まれるかという問題ではない。 電子マネー 機能が付いている本体がどちらの方式であるかが問題なのだ。 既存の デバイスに機能を追加するときは、それまでの使われ方に相対的に 従っていくデザインが、ユーザフレンドリーとなるのだ。

FeliCa 搭載携帯電話のセキュリティは、各社それぞれ異なるようだ。 置き忘れた携帯電話に電話をある法則でかけたり、指紋認証機能を つけたりしている。

さて、今のところ最新の一部の携帯電話にしか搭載されていないため、 どこで使えるかが問題となる。 しかし、今回はそれが問題ではない。 普及するには、鶏か卵かどちらが先かということが問題になるのだが、 今回は、NTTドコモが積極的になっている。 つまり、対応する サービスが後から付いてくる可能性が高い。 以前から Edy に対応して きたコンビニの am/pm だけでなく、今回新たに量販店であるビックカメラ、 で使えるようになったのは、その影響だろう。

カメラに続き、電子マネー機能が標準になっていくかどうかは、対応 するサービスが今後増えるかどうかにかかっている。ソニーファイナンス が筆頭株主であるため、ビットワレットに支払う手数料が下がることは 考えにくいかもしれないが、普及したときに見合った手数料にそろそろ するべきだろう。

電子マネーで期待されるもう1つの機能は、ユーザ同士でお金の受け渡し ができることだ。 この機能は、ドコモでは「ちょコム」サービスを 提供している。手数料は送付額の1%か5円の高い方だ。この手数料は、 システムを運営している限りどうしても発生してしまうものだ。 しかし、それもパケット使い放題の金額に含めたらどうだろう。 新生銀行が行っている手数料無料の振込みサービスとなるのだが、 今まで不可能と言われてきた小額決済が実現するだろう。 急速に 普及しても耐えられる決済システムの構築や、何かあったときの 保障を整える必要があるが、すでに新生銀行が実現しているので、 それほどハードルは高くないのかも知れない。 鶴の一声さえあれば 実現するだろう。

[リンク]。
http://it.nikkei.co.jp/it/seihin/miniinfo.cfm?i=20040616wi000wi


週刊 IT ニュース&コラム 2004/6/7
パスワード変更のメールに注意。HTMLメールのリンク先に注意

パスワードは、定期的変更した方がいい。それを逆手に取った 詐欺が発生している。

特にオンライン・バンキングからHTMLメールを受け取っている人は 注意が必要だ。HTMLメールに書かれたリンクをクリックすると、 オンライン・バンクと見た目が同じサイトにつながるが、 そこは詐欺をはたらく者が作成したサイトだ。当然、パスワードを 変更するときに要求される古いパスワードを入力することになるので、 そこで盗まれるというわけだ。

パスワードの変更を勧める本物のメールはあるから厄介だ。 詐欺メールの差出人は、当然偽称されているので、当然それで 本物かどうか判断することはできない。また、URLで判断することが できるが、メールに URL が書いてあってもそれは信用してはいけない。 HTMLメールなら、書いてあるURLと実際のリンク先を変えることが できるからだ。

ただし、リンク先に飛んだだけでは、まだ被害は受けない。実際に パスワードを入力するまでは。 つまり、パスワードを入力するときは、 必ず現在の URL をチェックすること。 または、URLを直接打つか、 お気に入りに登録されているリンクからサイトを訪問すればよい。 この原則が守られていれば大丈夫だ。 HTMLメールでURLチェック して十分だと思っていると引っかかる。

この詐欺は、パスワードを変更するのを面倒だと思う人なら被害は 少ないだろうが、ある程度パソコンの知識があり、自分の知識に慢心し、 最新の情報を集めない人が最も危ないだろう。

[リンク]。
http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/jp/rep01/310891


週刊 IT ニュース&コラム 2004/5/24
PDAに近づく世界最小 WindowsXP パソコン、VAIO type U 発表

2004年5月9日、ソニーは、世界最小/最軽量のフルWindows PC「VAIO type U」 を 5月29日に発売すると発表した。

VAIO type U(以後 typeU)は、はがきサイズで550グラムと、これまでの 最軽量パソコンの約800グラムから大幅に小型軽量化を行ったパソコンである。 いちばん大きな特徴は、キーボードを切り離し、PDAのようにペンで操作 できることである。キーボードを切り離したことで、小型化が実現したのだ。

以前私は、このメルマガで TabletPCの記事を書いたとき、キーボードレスが パソコンの小型化競争を加速しそうなって欲しいと書いた。 競争はまだ起きて いないが、小型化が進んだことはうれしいことだ。

しかし、typeU は TabletPCではない。 ペンによるフリーラインや手書き認識は、 昔からメーカーが取り組んできた技術であり、それなのにわざわざライセンス料が 高いTabletPCを選ぶことはない、というマイクロソフトへのメッセージでも あるのだろう。たしかに、マイクロソフトは技術的に高いのではなく、 デファクト・スタンダードをにぎっているだけなのだ。 ドライバやネットワーク など、OSに近い部分はリプレース(置き換え)が難しいので、スタンダードが 必要とされるが、手書きなどユーザに近い部分はリプレースしやすいので、 スタンダードを必要としないのだ。

折りたたみつきキーボードにしたことで、本体の、小型軽量化が進んだのは 結構だが、画面の解像度が 800x600に落ちてしまった。typeUの開発者に よれば、今の Windows は、(マウス操作も考えると) 200dpi が限界だそうで、 そうなると 800x600が最大の解像度だという。 解像度が下がったもっともな 理由だ。 しかし、どこでも自由な姿勢でネットサーフィンができても、 広い画面でなければ快適ではない。携帯電話のホームページを、パソコン用の ホームページとは別に作らなければならないように、画面の大きさというのは、 非常に大きな問題なのだ。 それも、技術が進歩すれば解決する問題ではなく、 物理的な問題なのだ。

小型軽量パソコンは、キーボードではなく画面サイズが問題になってしまった。 では、画面もキーボードと同じく折りたたみにしてみればどうだろう。 任天堂の次世代のゲーム機は、2画面を折りたたんだものになっており、 これまで1画面で伝えられなかった情報をプレイヤーに伝えることができる。 しかし、2つの画面の間を無くして1画面にすることは非常に難しい。

typeU は、動画を楽しめることを提案している。なるほど、動画であれば 画面サイズは小さくても問題ないだろう。 大きい画面が必要なのは、 ホームページなどを読むときだ。 そういったものは、静止画で十分なので、 電子ペーパーで表示すればいいのかもしれない。 じっくり読みたいときは、 高速無線USBで接続した電子ペーパーに表示すればいいのだ。 デスクトップ 本体と液晶ディスプレイが別になっているようなものだ。 今度の軽量化の ポイントは、本体と表示装置や記憶装置の分離だ。

[リンク]。
http://www.itmedia.co.jp/pcupdate/articles/0405/17/news031.html


週刊 IT ニュース&コラム 2004/5/10
P4のCPUの周波数が限界に到達。すべてのCPUがデュアルコアに

2004年5月7日、インテルは次世代のデスクトップ・パソコンのCPUを Pentium M ベースにすることを発表した。また、すべての CPU をデュアルコアにすることも 発表した。

Pentium M は、元々、省電力が要求されるうノートパソコン向けに開発された CPU であり、デスクトップ向けに開発された Pentium 4 に比べて、処理能力が 劣っていた。 なぜ、処理能力が劣っている CPU を、デスクトップ・パソコンに 採用することになったのだろうか。

Pentium 4 の動作周波数は、ここしばらく 3GHz 付近から上がっていない。 周波数を上げるには、消費電力を上げる必要があり、3GHz を超えると消費電力が 劇的に増えてしまうのだ。 消費電力を上げると、放熱対策をしなければならないし、 これ以上強力なファンをつけると騒音がひどくなる。 最新の Pentium 4 は 100 ワットを超えており、5GHz もあれば部屋を暖めるハロゲンヒータが 350Wに匹敵 すると言われている。それが、小さなパソコンの筐体の中にあるのだから、 放熱の限界にあると言ってよいだろう。会社で使う電力代もばかにならない。

Pentium 4 は、周波数を上げることに重点が置かれた CPUであり、高い周波数の 割には処理効率があまり良くない。 そこで、省電力で処理効率の高い Pentium M にスポットが当てられた。 同じ周波数であっても消費電力が小さいので、3GHz を超えても放熱対策の限界を超えることができるのだ。

これを受け、次世代 Penitum 4 である Tejas(コードネーム)の開発が中止された。 Pentium M ベースにするという発表は、つまり、Tejas の中止を意味するのだった。

ただ、省電力で処理効率が高いと言っても、その限界が来るのはすぐだろう。 そこで、インテルは、デスクトップ、ノート、サーバのすべての CPU でデュアル コアを採用すると発表した。 2つの CPU が1つのチップに乗るというものだ。 消費電力は2倍にはならない。なぜなら、CPUのチップは、コアだけでなく キャッシュメモリなど多くのモジュールから構成されているからだ。

2つのコアになると、ソフトウェアの作り方も変わってくる。通常のプログラミング では、1つのコア(プロセッサ)がどのように処理するかを記述していくのだが、 マルチスレッド・プログラミング、マルチプロセス・プログラミングという 特殊なプログラミングをしなければ、CPU の性能を発揮できなくなるということだ。 また、扱うデータやデバイスをうまく分担しないと、依存関係やビジー状態など の問題により、どちらかのコア(プロセッサ)が待たされる状態になってしまう。 マルチ・プロセッサ技術は長い歴史があるが普及してこなかった。 パソコンレベルで 搭載されるようになるとブレイクすることになるだろう。

[リンク]。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0405/08/news011.html


週刊 IT ニュース&コラム 2004/4/19
Windows と親和性の高い Linux を開発。移行が加速するか

イスラエル国防軍(IDF)の大学院生ダン・アローニ氏は、 Windows 上で Linux の仮想環境を構築する「Cooperative Linux」(coLinux)を開発した。現在は評価版となっている。

Linux は、デスクトップパソコンであれば、Linux の雑誌など に付いてくる CD-ROM から簡単にインストールすることができる。 しかし、実際に使うためには、電源を入れるときに、Windows か Linux か選択しなければならない。2台のパソコンが無ければ、 自分の右腕となっている Windows アプリケーションが全く使えなく なってしまう。これが、Linux の普及を妨げている1つの原因 というのは、多くの Linux 支持者が認識しているだろう。

Windows がここまで使われるようになれた要因の1つに、初期の Windows が、DOS アプリケーションも使えることがある。 つまり、現状の環境から新しい環境を同時に使えることで、 新しい環境への移行がスムーズにできたのである。 DOS全盛の時代では、Windows なんて要らないという人が 多数だったにも関わらすだ。

ccLinux は、Windows を動かしながら、Linux のアプリケー ションなどを使うことができるようにするプログラムだ。 詳しいことはわかっていないが、エミュレーション・ソフト ではなく、Linux OS が Windows OS と同時に動いていることらしい。 ハードウェアから来る信号を両方のOSに通知しているらしい。

2つのOSが同時に動くと、タダでさえ重たい Windows と Linux の両方がメモリや CPU を消費するので、更に重たくなる 可能性がある。もしかしたら、Linux 環境のエミュレータの 方が使い勝手がいいのかもしれないが、そういったソフトはない。 Linux は OSなので、OSの部分を持たないエミュレータを 開発する Linux 支持者がいない気持ちはよく分かる。 しかし、ユーザにとっては関係の無いことだ。

私個人は、Windows アプリケーションを開発しているが、 Linux アプリケーションを作りたいとも思っている。 しかし、開発環境があまりに違うため、開発する気になっていない。 マイクロソフト・オフィスと互換性のある Open Office は、 私も使っているが、Visual C++ と互換性のある開発環境は 存在していない。Visual Studio .NET の必要性を感じて いない今、少し古い感じになった Visual C++ 6.0 でも 互換性を持った Linux アプリが欲しいと思っている。 互換性が高ければ、特許の問題も出てくるだろうが、 無償でなくても購入したいと思っている。

[リンク]。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0404/14/news035.html


週刊 IT ニュース&コラム 2004/3/29
携帯向け地上デジタルのライセンス問題が解決

2004年 3月 24日、NHKと民放各社は、携帯電話やPDA向けに 配信するためのフォーマットが「AVC/H.264」に決定したと 発表した。

AVC/H.264は、ISOとITU-Tという国際標準規格になろうと している MPEG4 AVC のことだ。これまで、MPEG4 AVC は、 視聴者の数でライセンスを支払う方式を主張してきたが、 放送設備の数でライセンスを支払う方式で合意したようだ。 コストを考えると後者の方がいいだろう。

テレビ付き携帯電話は、昨年末に発売されたばかりだが、 好調な売れ行きを見せているようだ。携帯電話でネット サーフィンしているよりもテレビを見ていたいという人は 多いのだろう。ただ、現在の地上波テレビでは、どこでも 見えるというわけには行かない。市街地から離れると 見えなくなることがある。 しかし、地上デジタルに なれば、弱い電波であってもデジタル補正することが できるのでクリアな映像を楽しむことができると予想 されている。クリアでなくても、以前、インターネットで ダイヤルアップが全盛のころ、56Kの小さな動画が見えた ように、電波状態に合わせたフォーマットが放送される かも知れない。

地上デジタルは、4月1日からスクランブル放送となり、 コピーワンスに対応した機種やパソコンでないと録画が できなくなるが、きちんと著作権保護を行って、映像の ソフト産業が充実していけば、面白いコンテンツが 増えていくことだろう。携帯で見えるようになれば、 テレビの広告効果も上がると予想されている。携帯電話 会社にとっては、通信費が減ることになり、あまり 積極的ではないが、地上デジタルの放送と同時に受信した Webページからアクセスするコンテンツが考えられている。 広告を見たら、すぐに詳細なホームページにリンクできる とういわけだ。 インターネットでは Web がメインで 映像をクリックする形態だが、これからは映像(放送) がメインで、Webはサブという形になるだろう。なぜなら、 その方がボタン操作が少なくて楽だからだ。

[リンク]。
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20040324/gdb.htm


週刊 IT ニュース&コラム 2004/3/8
Yahoo!BB、約450万もの個人情報が流出

2004年 1月 23日、Yahoo! BB の個人情報が流出したことが発覚し、 2月27日、450万人もの個人情報が流出したことが判明した。

Yahoo! BB の個人情報が流出したと発覚したのは1ヶ月以上前のことだが、 これまでどのような経緯があり、どのような対策がされてきたか 検討してみようと思う。(ちなみに、筆者の情報も流出したらしい)

流出した情報は、「申込み住所」「氏名」「申込電話番号」 「申込日」「メールアドレス」「MDFナンバー」 「顧客のステータス情報」が約450万件で、クレジットカード 番号や利用履歴は物理的に別システムであったために流出し なかったという。全体で約670万件のうちほとんどが流出した形だ。 これによる被害は、一部に架空請求があったらしい。 ちなみに、振込先が個人名義であれば、確実に架空請求である。

1月17日、「fuu fuu」と名乗る人物(木全容疑者)から、メールで 104件分の情報が送付された。1月21日に湯浅容疑者はソフトバンクと 面談して恐喝を行った。2月11日には、両容疑者が逮捕された。 木全容疑者は、以前本社のサポートセンターに勤務していたというが、 容疑者にデータベースの知識は無く、彼だけで犯行はできないようだ。 そして、2月27日には、約450万件の情報が流出していたことが分かった。

湯浅容疑者はYahoo!BBの代理店であったが、個人情報データベースに アクセスできる権限は無かったという。アクセスできる人数は、 この事件を受けて、135名から58名に絞ったという。 個人情報にアクセスできる端末は全国で2000台程度あるが、 1件1件参照することしかできない。本社のデータベースに対する アクセスログが残っているが、ログの保存期間が短かったため、 捜査に影響があるらしい。現在、ルートを特定する手がかりがは 見つかっていない。

事件への対応としては、メールアドレスの変更を5月31日まで何度でも 無料にした。500円の金券も送る予定だ。ただ、これが却って事件を 助長することにもなりかねないという考えを米国役員は示している。

2003年10月に社内に個人情報管理委員会を設置したにも関わらず 事件となったので、初代内閣広報官の宮脇磊介氏ら3名を外部から 迎えて、3月3日、個人情報管理諮問委員会を設立した。4日には 「組織」「物理」「運用・技術」「業務委託・人」の4つの安全対策を 柱に掲げた個人情報保護対策を発表した。責任者に元マイクロソフト 社長の阿多氏、高セキュリティエリアには、CISOの承認を必要とし、 入室記録をとり、3名しか入れない。データは一部を暗号化した。 eラーニングも実施し、違反者には罰則を設けた。 また、孫正義氏を含め、経営陣の減給が発表された。 アクセスログも半永久的に保存することになった。

ある情報筋によれば、名簿流出は以前にも5〜6回あり、裏で取引 されていたという。10万件で約数百万だというが、最近は取引量が 多く、値下がりしているという。プロバイダの会員名簿より、 迷惑メールの返事をした人の名簿の方が高額であるという。

Yahoo!BBはブロードバンドの先駆者として仲間意識が強く、 性善説的なセキュリティポリシーを取っていたが、 どんな組織であれ、セキュリティは強固にしておくべきであったという。

[リンク]。
http://internet.watch.impress.co.jp/static/index/2004/03/01/ybb.htm


週刊 IT ニュース&コラム 2004/2/23
Wireless USB 発表。パソコンからケーブルが消える

2004年 2月 17日、Intel Developer Forum Spring 2004(IDF2004)が 開催され、Wisair社、Staccato Communications社、NECエレクトロニクス の各社は、USB2.0 の無線版である「Wireless USB」を発表した。同時に会場では 評価機も展示された。

Wireless USB は、USB2.0無線版と言われているが具体的にどのような ものなのだろうか。 まず、Wireless USB は、USB2.0と同じ最高速度 (480Mbps)を無線でUWB (超広帯域無線)で実現するという。現在、 無線で主流になっている IEEE 802.11a/b/g は、最高速度は54Mbps なので、約9倍である。

9倍速くなると言われてもよく分からないので、具体的に USB1.1から USB2.0になったときのことを思い出してみよう。 USB1.1では、 外付けハードディスクや CD-R ドライブが遅いと感じたことだろう。 それが、USB2.0になって、普通のハードディスクや CD-R ドライブに なったと感じたはずだ。これと同じことが無線でできるというのだ。 しかも、わざわざ線をつなぐ必要が無いため、持ち帰ったノートパソコンを ハードディスクにつなぐようなことをしなくてもよくなるのだ。 すでに、インターネットでは無線ルータが発売されているが、 それと同じ感覚で自分の大容量ディスク装置にアクセスできる というわけだ。それに、ワイヤレスだから、複雑になってしまう コードの束からも開放される。

USB と名前が付いているからには、その接続性に重点が置かれているだろう。 これまでの無線はLANなので、パソコンとパソコン、パソコンとインターネット を接続するものだ。Wireless USB は、周辺機器と接続するというところが 大きく異なる。すでに発売されているが、無線LANの外付けハードディスク、 これと同じことができるということだ。 ワイヤレス・キーボードやワイヤレス・マウスもすでに 商品化されているが、多くは赤外線を使っており、受信機を近くに 置く必要があった。それが無くなる。これは大した変化ではないのかもしれない。 しかし、ワイヤレスであれば、物理的に USB コネクタを必要としないことは、 ノートパソコン本体を小型化や軽量化に貢献することになる。それだけでなく、 物理的に数ポートが限界だったものが、何十もの機器にノートパソコンが つなげられることになるのだ。当然、USBハブも必要無くなる。

ワイヤレスであることは、無線LANで経験したことと同じ問題があるということだ。 たとえばセキュリティ。それぞれの機器にパスワードを設定することに なるのだろう。ここは、USB の接続性を生かすために、パスワードを 自動的にパソコンから周辺機器に送って欲しいものだが、悪意のある 人によって乗っ取られないようにしなければならないので、やはり パスワードの入力は必要なのかもしれない。 また、もし、Wireless USB が本格的に普及したら、場所を移動するたびに 新しい機器を自動検出してしまうことになる。接続したい機器のIDコードを 入力するか選択することになるのだろうか。 その解決策を考えてみた。新しく接続するときだけ、有線のUSBを使うように すればいいのだ。そうすれば、わざわざパスワードを設定しなくても済むし、 非常に安全だ。何より、無線でいつのまにかつながってパスワードを入力する よりも、有線でつなぐ行為の方が使う人に安心感を与えるのだ。

[リンク]。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0402/19/news042.html


週刊 IT ニュース&コラム 2004/2/9
ウィルス対策の専用の検疫ネットワークを構築せよ

2004年1月29日、NECは、ウィルス対策が不十分なパソコンを ウィルス対策専用ネットワークに強制的に接続することで、 ウィルスの社内感染を防止する免疫システムソリューションの 販売を開始した。

現在、MyDoomウィルスが蔓延しているが、ウィルス対策を きちんとしていれば、これほど蔓延しなかったという説がある。 多くのウィルスは、過去にパッチ(Windows Update等)で対策された 不具合を利用しているためだ。つまり、きちんとアップデート していれば、被害は受けないのだが、その効果が出るためには、 すべてのパソコンが完璧にアップデートされていなければならない。 1台でも穴があれば、そこから進入されてしまう。

現在、持ち主が手動でパッチを適用しているため、 人為的ミスが発生してしまう。そこで、Windows Update を自動化 する動きがあるが、アンチ・マイクロソフト派には、パッチの適用を しない人もいる。パッチが新たな不具合を発生させる可能性がある からだ。Windows 用のウィルスはわざと対策しない人もいるだろう。 そういった人が、個人サーバを運営して、ウィルスの温床に なっている可能性もある。インターネットでは、いろいろな人が いるため、インターネットからウィルスが無くなることは無いだろう。

そうなると、各自で守らなければならないのだが、企業レベルでは、 パソコンに詳しい人から苦手な人までいる。すべての人にパッチを 完璧に適用することは大変なことだ。そこで、パッチの適用状況を 自動的に把握し、自動的にパッチを通知するソリューションが 開発された。今回は、それを更に発展させたもので、ウィルス対策 が不十分なパソコンは社内ネットワークから切りはなすことで、 社内ネットワークを保護し、ウィルス対策専用ネットワークから クリック1つですべてのパッチを適用するというものだ。

社内ネットワークでいちばん脅威となるのは、個人所有のパソコンだ。 たとえば、会社のメールをノートパソコンにミラーリングして、 活用している人も多いだろう。そういった方は、会社のパソコンと ノートパソコンでプライベートネットワークを構築して欲しい。 会社のパソコンにもう1台LANカードを挿し、ピアツーピアで接続し、 「Microsoftネットワーク用ファイルとプリンタ共有」を無効にしよう。 つまり、ノートパソコンから会社のパソコンを操作できないように することだ。

[リンク]。
http://www.nec.co.jp/press/ja/0401/2904.html
http://ascii24.com/news/i/soft/article/2004/01/29/647974-000.html


週刊 IT ニュース&コラム 2004/1/26
早くも任天堂は次の手。2画面携帯ゲームを発表

2004年1月21日、任天堂は、液晶画面を2つ搭載したゲーム機を 今年末に発売することを発表した。

2つ画面があると単純に多くの情報が与えられる。単純に画面を 広くした場合、おそらくその画面全体を使わなければ迫力が なくなってしまうため、わざわざ2分割する画面をつくろうとは しないで、ウィンドウで重ね合わせたりする。 それは逆に、 ウィンドウを閉じなければ、後ろに隠れた部分が見えなくなる ため、相対的に情報量が少なくなってしまう。たとえば、 メイン画面で迫力のある映像を、サブ画面で詳細なデータを 表示させることができる。

ただ、任天堂は、情報量の問題にはしていないようだ。 2つの画面を見ることがほとんどの人が体験したことが無いだろう。 テレビとパソコンという全く関係の無いものではなく、 ダイナミックに連携された2つの画面だ。たとえば、地上と 地下という2つの画面を表示させることで、透視能力得たような 感覚になるだろう。もちろん表現方法はこれに限らないが、 変わった感覚を楽しめることには間違いない。これを任天堂は。 「異質なプレイ体験」と呼んで、新しいゲームの楽しさを 提供しようと言うのだ。

2つあるという液晶画面は、コンパクトを開いた両面、つまり 縦に2つ画面があるという感じらしい。もしかしたら横に画面を 並べることができるかもしれない。パソコンでは、置き場所の問題 から横並べになることが多いが、メインとサブを明確するには、 縦並べにする方がいいだろう。しかし、横に並べながら、 混乱させることなく、ゲームを成立させるものが登場する かもしれない。電子書籍ソフトが登場すれば、本を開いた 感じにできる。しかし、それらは、キラーアプリになりえない。 任天堂は、下手に両方使えるより、縦並べ専用という選択を したようだ。

2つあるのは、画面だけではない。CPUも2つ搭載する。 内部的には、単純にゲーム機を2台並べた感じと推測する。 粗結合マルチプロセッサだ。マルチプロセッサの技術を 使わなくても、これまでの通信対戦ゲームと同じ技術が 使えるのだろう。この場合、2つのプロセッサで2倍の 性能を得るより、2つの別の処理を平行してやらせるのに向く。

実は、2枚画面というのは、以前、任天堂がやったことがある。 かつて大ブームを起こしたゲームウォッチに、縦に画面を2枚 並べたものがあった。当時も衝撃的であったが、今度も ブームを起こすかもしれない。

[リンク]。
http://www.nintendo.co.jp/n10/news/040121.html
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20040121/ninten.htm