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weekly news column 00.11.27
日本初 .NET 情報サイト立ち上げ

2000年11月15日、IT技術の情報サイト「@IT」に Microsoft の .NET の専門ページを開設した。

.NET の製品がまだ出荷されていないためか、 ソフトウェア開発者を対象としたページ構成と なっているように思う。 Visual Studio .NET、C#(プログラミング言語)、 SOAP プロトコル Tool Kit、XML パーサなど の解説やリンクがある。 私もこのページで初めて、 .NET Framework SDK があることを知った。

25日には、.NET 関連リンク集が掲載された。 これが非常に充実した内容で、 改めて .NET の注目の度合いが伺えられる。 しかし、日本語のページや日本製ソフトのあまりに少ないことか。 英語を読めなければソフトウェア技術者は やっていけないという面も否定できないが、 英語が読める技術者しか参加できなかったり、 理解するのに時間がかかったりと、 日本にとっては不利な状況である。

@IT は、国内では珍しいソフトウェア関係の 最新情報を集めているページである。 ソフトウェア技術者にとって、 必須のホームページであることを覚えておこう。


weekly news column 00.11.20
米では非 PC 系が増えてきた COMDEX、日では組み込み系展示会 MST

2000年11月13日〜17日、ラスベガスにて コンピュータ総合展示会 COMDEX Fall 2000 が、 2000年11月15日〜17日、東京ビッグサイトにて、 組み込み系の展示会 MST 2000 が開催された。

Gates 氏の基調講演は、.NET に関することだった。 といっても XML の話。ネットワーク同士のコンポーネントが SOAP プロトコルでつながって、なにかすごいことがおきる とういことらしい。各 Microsoft 製品は、インターネット (HTML)対応をうたっていた時代から .NET(XML)対応を うたうようになるだろう。XML はプロトコルの標準化という 面では評価できると思うが、それ以上でもそれ以下でもないと 私は予想している。XML 対応だからと、ネットワークの リソースに全てアクセスできるとは限らない。なぜなら DTD も合わせないと、データの意味付けができないため 意味のある通信ができないのだ。 私は、むしろ、Microsoft が、Windows プラットフォーム という地盤に変わり、インターネットを地盤にしようと しているように見える。その基盤が XML だといっているが、 すでに HTTP や HTML があるのではないだろうか。 しかし、Microsoft の Visual Basic が驚異的だ。 現在の開発者の多くは Visual Basic を(不満ながら)使っている。 それが XML をベースとしたとき、ネットワークの基盤に XML を必須としてしまう危険性があるからだ。

一方で COMDEX は、Palm や bluetooth など非 PC の 展示の方が盛況であったようだ。IT 技術は PC だけでは ないということだ。これを一括して「組み込み」と言ってもいいだろう。 組み込みの世界には、以前から Microsoft は Windows CE や NT Embedded を投入しているが、いまや PDA の世界では Palm に 追い抜かれている。また、日本製の組み込み OS は、 μITRON が圧倒的に多い。そこへ、新しい勢力として LINUX が参入しようとしている。低消費電力 CPU Crusoe で有名になった Transmeta 社の Module Linux が COMDEX で明らかにされた。

組み込みといえば、以前から Java が注目されてきているが、 本格的に採用されていることを大々的に発表したところは まだない。ここまで、注目されながら実現されないのでは、 本当に組み込みに向いているのか疑問になってくる。 しかし、各メーカーの Java チップの開発は地道に 続いているようだ。ZDNet の記事によれば、富士通が Java chip を開発し、66MHz で動作しているという。 とても遅いと思われるかもしれないが、Pentium III の 1GHz の Java VM に相当するというから、 速いのだろう。しかし、Java の最大の特徴である、 プラットフォーム非依存は、雲行きが怪しくなってきている。 それは、Microsoft の Java VM がオリジナルと互換性が ないように、ハードで完全にプラットフォーム非依存にするには、 かなりの標準化の努力が必要であろう。

しかし、日本では圧倒的勢力である μITORN 系では、 Microsoft ほどの開発環境がそろってはいない。 というより、Microsoft の Windows CE 開発環境 Platform Builder がタダ(実費のみ)で公開されているにも 関わらず、それほどニュースになっていない。 一昔、パソコンでプログラミングしていたように、 PDA や携帯電話で気軽にプログラミングが出来れば いいのだが、いまのシステム、たとえ手の中に収まる 携帯電話であっても、とても大規模になってしまった。 1つのシステムに関わると他のシステムに移行しにくい 時代になってしまったのだろうか。いや、プログラマは 少なくなったが HTML デザイナは増えている。 HTML 感覚でシステムを操れる(携帯電話に カメラ付きが簡単にできるなどの)ように環境を素早く提供した ものが普及するのではないだろうか?


weekly news column 00.11.13
次期 Windows「Whistler」日本語版 βテスト開始

2000年11月9日、次期 Windows(コードネーム Whistler)の 日本語β版が、MSDNの会員にダウンロードサイトから提供された。 Whistler は、Windows2000からのマイナーバージョンアップ であると当時に、Windows95 カーネルのラインとの統合を 目指したものである。発売は、2001年下半期中であるとしている。

様々な新機能に付いては、後記のリンクページに任せるとして、 最も目立つ変化である、新ユーザインターフェイスについて 述べたいと思う。

新ユーザインターフェイス(写真は後記リンクを参照)は、 Palm の登場によってスタートメニューの変更を余儀なくされた WindowsCE(Pocket PC)の影響を受けたものであろう。 立体的な表現は無くなり、シンプルでカラフルな印象を受ける。 アメリカでも癒し系が流行っているのであろうか?

新スタートメニューは、スタートボタンを押すだけで 画面いっぱいに選択候補のアイコンが並べられる。 これで、一覧性を得られると同時に、 マウスのクリック回数を減らす効果が期待できる はずなのだが、メニュー項目は相変わらず階層的で、 あまり効果的でないように思われる(写真からの推測)。 マイドキュメントの中身や、最近選択したメニュー項目や、 ユーザカスタムメニューを、それぞれ、または全てを、 タブで切りかえるようにできたらいいと思う。

新エクスプローラには、これまで Web フォルダと 言われてきたところ(フォルダの左半分)に クリック項目が増えている。 これがタスク指向のユーザインターフェイスなのだろうか? ファイル(データ)をアイコンに、 コマンド(命令)をウィンドウメニューに、 アプリケーションをスタートメニューに、 という区別を無くし、よく使われるものを 見える位置にまとめた点では、結構便利なのかもしれない。 システム的に考えれば、ファイルとアプリの区別が 分かりにくくなって操作しにくくなると考えられるが、 Windows 2000/Me から、よく使うメニューのみ表示する ようになったのが意外と便利であったように、 便利なのかもしれない。

これらの新ユーザインターフェイスから、1つの 統一された設計方針を伺うことができる。 それは、ある法則で整然としている階層メニューから探すより、 状況に応じて見やすく現れる選択候補を随時選択した方が、 ユーザにはストレスが少ないということである。 これは、機能的に見ればエージェントに近い。 ならば、ユーザ主導設計が欠かせない。 Microsoft がどれだけユーザについて考えているかで、 その使いやすさは大きく変わるだろう。


weekly news column 00.11.05
Microsoft 本社にハッカー侵入

2000年10月25日、Microsoft(MS) 本社は、ハッカー(クラッカー)の 侵入に気づき、翌々日に明らかにされた。 Windows や Office のソースコードを盗まれた可能性があるが、 今のところ大きな被害は出ていない。

侵入は、電子メールなどを通じてあらかじめ侵入していた、 トロイの木馬型のウィルスが、 社内ネットワークに入るパスワードをハッカーに送り、 そのパスワードを使ってハッカーが数週間ほど侵入したという。

今回のウィルス Qaz.Trojan は、2000年8月に発見されており、 ウィルス駆除ソフトに引っかかるはずである。 最近まで侵入を発見されなかった原因が、 ウィルス駆除ソフトが入っていなかったか、機能しなかったか、 ウィルス定義ファイルを更新していなかったか、 ウィルス自体よく発見されることなので無視されたか、 特定はできていない。 ウィルスの侵入経路が、電子メールか、オンラインソフトか、 個人所有のパソコンか、自宅のパソコンかも特定できていない。 どの報告も一般的な可能性を示しただけに留まっている。

だからといって、対策をしないわけにはいかない。 仕事のパソコンや常時接続のパソコンには、 ウィルス駆除ソフトをきちんと入れておこう。 今回のウィルス Qaz.Trojan は、ネットワーク・コンピュータ経由で LAN 内に感染するので、インターネット経由で私たちに感染する心配は無い。 感染したかどうかは、note.com というファイル名に書きかえられた メモ帳(元notepad.exe)があるかどうかファイル検索で 調べればよい。もし、note.com があれば感染している。 (詳しくは後記のリンク「QAZ.trojan とは?」を参照)

MS は、通信記録(ログ)を見て、 アカウント(ネットワークのユーザ登録)が 異常に増えたことを人間が確認したことで ハッカーの侵入を発見したという。 新入社員のために新しいアカウントを 取得することもあるので、 自動的に発見するソフトを作成することは難しい。 やはり、ソフトをインストールすれば十分ではなく、 知識を持ち、抜き打ち的に監視しつづけるしかないだろう。

ハッカーの目的は何だったのだろう。 ソースコードにバグを忍ばせて損失を与えるのであろうか (元々バグは多いからその可能性は低いが)。 ソースコードを盗んで MS より先行して発表するのであろうか (あれほど大規模なソフトを統合するのは MS 帝国ほどの人手がかかるが)。 ソースコードの致命的欠陥を攻撃するのであろうか (致命的欠陥を発見するのはとてつもない労力がかかるが)。
どうやら、技術的な犯罪は考えにくいだろう。

興味本位でソースコードを見てみただけという可能性もある。 ならば被害はほとんど無いのだが。だからといって ハッキングしていいわけではない。 金品を盗まなくても不法侵入は犯罪である。

もっともらしい可能性は、 盗んだソースコード(極秘情報)を公開すると ゆすることである。 Microsoft は、ソースコードを非公開にしており、 最近のオープンソース運動の格好の的になっている。 しかし、それを実行したときに、自分の身を 知られないようにすることが、ハッキングのときより はるかに難しい。 これらを考えると、バルマー社長が言った 「たいした被害ではない」のかもしれない。

しかし、それが言えるのは、きちんとバックアップを 取っているからである。バックアップを取っていない ファイルをウィルスに大量に削除されたら、 かなりの被害になる。自分のパソコンにだけ 入っているファイルは無いか、 この機会にチェックしてみてはいかがだろうか。