weekly news column back number


weekly news column 00.10.30
大手電気4社・BSデジタル放送を開拓・普及させるための子会社を設立

2000年10月23日、松下、東芝、ソニー、日立が中心となり、BSデジタル放送 を開拓・普及させるためにeプラットフォームサービスを検討する企画会社、 株式会社イー・ピー・エフ・ネットを発足させる事に合意した。

今年の12月から BS デジタル放送が開始されるのに伴って、 各電気会社、各放送会社から新製品や新番組の告知が 頻繁に行われるだろう。 すでに NHK の BS デジタルで、シドニーオリンピックの 試験放送を行い、同時に、五輪クイズが行われたり、 郵便番号(なぜか電話番号ではない)を入力して地域の週間天気が見ることができ、 非常に好評であったそうだ(NHK のある特集による)。

デジタル放送では、通常のテレビ映像のほかにデータも送られてくる ことがほとんどであるので、そのアプリケーションに注目が集まっている。 株式会社イー・ピー・エフ・ネットでは、 HTML のようにデータ放送のデータ形式を標準化していき、 セットトップボックス(STB)を販売していく。 おそらく、ドリームキャストでインターネットする感じだろう。 データは、大きく分けて蓄積型と双方向型に分けられる。 蓄積型は、HTML のようなデータを STB に蓄積していき、 データを見るときは、まるでインターネットにつながって いるようにブラウズすることができるらしい。 蓄積されているのですばやくリンクをたどることができるだろう。 蓄積されている範囲は限られてくるだろうから、 まだ蓄積されていないものや、放送されない部分への リンクは、インターネットに接続していくのだろう。 しかし、それでは CD-ROM と変わりが無い。 データ放送では、今放送されていることに関する 情報が次々に変わっていくのが特徴だ。 現在放送されている音楽の歌手の名前や、 料理番組のレシピなども自動的に蓄積されるだろう。 しかし、蓄積されるだけで、後で再び見ることが 難しいとあまり役に立たないかもしれない。

もう1つ、双方向型のサービスでは、 現在、電話で行われているリアルタイムアンケートや、 通販やリクエストやオークションが、STB で簡単にできるらしい。 料金の支払いも STB 上でできるようにしていく。

デジタル放送の STB では、ハードディスク・ビデオ・ レコーダーの機能も備えるという。 放送中の番組を随時録画していき、 必要に応じてちょっと前の放送をすばやく見ることができる。 生放送の決定的瞬間を見逃したときでも、確実に見ることができる。 もちろん、既存のビデオ・メディアにコピーすることも できるだろう(個人で楽しむ限り)。 しかし、これは、デジタル放送に限ったことではない。

TBS は、27日、映画撮影に適したデジタル映像規格「24p」 (画像解像度1920×1080ドット、毎秒24フレーム)のデモを 公開した。スターウォーズの次回作が HD24pで撮影されて いるらしい。この解像度を見るとスゴイと思うかもしれないが、 ハイビジョンと比べるとデータ量は少ないため、 画質は悪いと考えられるが、見た目で区別はできないらしい。

また、NHK は、緊急時に BSデータ放送が役立つと言っている。 ライフラインが使えなくなったとしても衛星の電波は 届いているかららしい。しかし、これは携帯型の地上波テレビや 地域別放送型携帯電話(J-Phoneが既に開始)でも同じことだと 思うのだが、おそらく地上に電波局に被害があっても 大丈夫であるということだろう。 まぁ、あることに越したことはないというところか。

よく考えると、すでに地上波では、データ放送は行われている。 しかし、あまり普及しているとは言えないのではない。 やはり、テレビに標準で付いていて、 スイッチを入れるのではなくチャンネルを変える感じで データ放送に切りかえられなければ使われないだろう。 番組というポータルからシームレスに リンクできなければ、だれも見ないということだ。 さらに、自分からデータを見たいと思うのではなく、 何か来ているよ、とエージェントから知らされて、 興味があれば見てみようというスタンスではないだろうか。 そして、リアルタイムアンケートも、放送中に 入力画面が出てきたら、思わず答えてしまうだろう。 テレビ欄もボタン一発で出て欲しい。 このように、テレビとデータ放送を境界なくシームレスに 統合するように STB やデータ形式を標準化していくことが 普及のカギになるだろう。

また、ビデオの予約が苦手な人が多いという問題にも 注目して欲しい。 ビデオの予約ができない人が多いのは、 カーソルの移動方法が各機種ともまちまちであるからだ。 いきなりとんでもない項目に飛ぶこともある。 数値の入力(選択)も各機種ともまちまちであるからだ。 でもパソコンでインターネットはできる人もいるから、 これを標準化するには、自由に動ける カーソルを付けることだ。そして、 標準のソフトウェアキーボードを一発で 出せるようにすることだ。


weekly news column 00.10.23
World PC Expo 基調講演 ピア・ツー・ピアコンピューティング

2000では10月20日、ビッグサイトで開催されている World PC Expo で、インテルの副社長パトリック・ゲルシンガー氏が ピアツーピアコンピューティング(P2P)がインターネットを変革する 起爆剤になるとして,業界全体で取り組みべき最優先の課題だと話した。

ピアツーピア(P2P)とは、クライアント・サーバのような 主従関係があるものと異なり、対等な関係をもった コンピュータ同士の接続方式である。 しかし、パトリック氏が話しているものは、 これとは多少異なる。サーバを特定の IP アドレスを 持ったマシン(または、その先に LAN 接続されたマシン)に 特定しないで、余裕のある任意のマシンに付加を 分散させることらしい。

コンピュータは、ユーザのアクションがあったときの 一瞬のみ全力で稼動し、平均 70% はプロセッサが 休みの状態にある。しかし、一部のアプリケーションは、 長い処理(5秒以上)が必要になる。その処理に対して 残りの 70% のプロセッサ資源を LAN で接続された マシンとピアツーピアで接続して、付加を分散させる。 LAN が高速になっている今、パソコンによる分散 コンピューティングが現実味を帯びてきているのだ。 また、インターネットに接続することで、 自分の家にある高速マシンの能力を持つような 携帯端末を持ち歩くことができるようになったり、 スーパーコンピュータの能力を 低価格で自由に利用できる日も来るだろう。

また、プロセッサだけでなく、ディスクも共有することも 主張している。 これは、Windows のファイル共有で既に普及されているように 思えるかもしれないが、ディスクをキャッシュとして 利用することは、まだ普及していない。 プロキシサーバをピアツーピアにしたものと考えれば いいだろう。

他のマシンの能力を使う技術は、分散コンピューティングや エージェントと呼ばれるもので、20年前から研究されている。 その成果は、スーパーコンピュータで応用されているが、 それを一般のパソコンにも適用しようというものだ。 しかし、パソコンは、他の人も使っているので、 節度をわきまえなければウィルスになってしまう。 セキュリティ技術が必要になるのだ。

これらを踏まえて、パトリック氏は、ピアツーピアの 普及のための5つのキーエレメントを挙げた。
「共通プロトコルの確立」
「使いやすさ」
「セキュリティ機能」
「スケーラビリティの高さ」
「標準化の推進」

私たちプログラマは、その恩恵をタダで受けられるわけではない。 ピアツーピアの技術は、分散コンピューティングの技術である。 つまり、分散コンピューティングに特有のプログラミングが 要求されるのである。 たとえば、いつ他のプロセッサ資源を使うようにするのか。 プログラムのすべてのサブルーチンを、他のプロセッサに 任せればいいというわけではない。それだけオーバーヘッドが 生じるために、ある程度時間のかかる処理でなければ 逆に遅くなってしまうのだ。 他にも、それぞれのプロセッサに分散させるための 非同期コールの概念や、演算結果をまとめるのに データの同期を取る必要があることなど、 従来の関数プログラミングの常識が通用しなくなるのだ。


weekly news column 00.10.16
文部省、IT 社会に向け、大学設置基準を改正

2000年10月11日、文部省は IT 時代に対応して 大学設置基準を改正する方針を固めた。 海外向けにインターネットで授業を公開することや、 ネット上で得た外国の大学の単位を日本の大学の 単位とすることを認めるという。

また、2000年10月12日から13日、「1億人のIT革命」をテーマに NTT-ME, NTT-X のプライベートショーが、品川インターシティホールで 開催された。その中で、NTT-X、イーキューブカンパニーの プレジデントである福原美三氏は、Web Based Training(WBT) による e-Learning ソリューション"e-cube" について講演を行った。

NTT-X の講演によると、「なぜ e-Learning なのか?」については、 IT革命による構造変化やIT技術者の不足などの社会的要請、 インターネットの普及、教室型の2分の1のコストという経済的条件、 インターネット技術と教育支援技術の成熟、 が理由であるらしい。 米国での調査では、「どこで研修を受けたいか?」に対して、 自分のデスク 47パーセント、研修センター 20パーセント、 「いつ受けたいか?」に対して、 就業前 16パーセント、就業後 17パーセント、 昼休み 16パーセント、仕事中 29パーセント、 ということらしい。やはり、仕事場で自分のデスクという、 少し緊張感がありながら落ち着いて作業ができるときに 勉強した方が効率がいいのであろう。 しかし、多くの方は、ゲーム感覚でサクサク勉強できる方が いいというのが本音ではないだろうか。 それが、仕事中にできるのならなおさらだ。

ということで、私も、NTT-X の e-Learning ソリューション Xcalat を実際に試してみた。 Xcalat は、Application Searvice Provider(ASP) であるので、 オンラインで学習を行う。 操作感は、動きのある Power Point を見ている感じであり、 参考書を読むより1つ1つの文章をしっかり読むことができ、 記憶に残る感じがした。 しかし、インターネットにつながっている必要があるので、 家で行うには通信費が問題になるだろう。 WBT の特徴である、「どこでも勉強できる」ことが あまり現実的ではないようだ。 また、絶えず通信をして反応が遅いため、 サクサクと勉強できるわけではなかった。

もう1つ、私が、CEATEC(旧エレクトロニクスショー)に 行ったときに、強く薦められたベンチャー企業 「スマートリンク」の WBT である、Internet Business College も試してみた。 参考資料は PDF で作成されており、豊富な色で装飾された参考書を パソコンで見ている感じだ。非常に丁寧に作成されており、 読む気を起こさせる。 オンライン教育でありながら、資料はダウンロードする形を とっているので、オフラインで見ることができ、 通信費の問題を解決している。 ただ、参考書を読んでいる感じが強く、 インタラクティブ性が無いので、 参考書アレルギーの人には向かないかもしれない。

どちらの WBT も、電子メールや電子会議室による サポートを行っているため、分からないことがあれば 気軽に質問できるだろう。紙の参考書や、教育ソフト との大きな違いは、そこにあるわけだが、 個人が行うには、まだ高価だ。 しかし、オンライン教育は、近い将来、確実にやってくる。 ゲーム感覚で授業が受けられる日もそう遠くないだろう。 しかし、どの WBT も、どれだけ理解できたか確かめるサービスを 行っている。残念ながら、テストが無くなることはないようだ。


weekly news column 00.10.09
米国の電子署名法発効

2000年10月1日、米国の電子署名法が発効されました。 これで、電子的な署名に法的拘束力が付くようになり、 IT 社会の実現に一歩近づきました。

ただし、この法案では、ベリサインや PGP のような 本人が持っている暗号カギでしか技術的に作れない (偽造が不可能な)署名を要求しているわけではありません。 署名を信用するかどうかは、当人に任せられています。 おそらく、重要な署名には、第3者の機関が保証するものを使い、 簡単な署名には、パスワードやクレジット番号などを 使うことができるようにしているのでしょう。 つまり、何が書いてあるかわからない威厳のある印鑑から、 文房具屋で売っているスタンプまで 使いまわせる法案なのでしょう。

単に電子署名を法的に認めるだけでは法律になりません。 不正行為や電子署名の偽造から消費者を保護することまで 書かれています。 たとえば、消費者保護のために、水道、電気、ガスの解除依頼、 裁判所命令、健康/生命保険の解除通知など、 生活の基本的なことは、従来通り紙で発行されなければ 効力を発揮しないようになっています。 しかし、一般の企業は物理的な書類に固執する購入者に ペナルティーを科すことができるそうです。

日本では学術的、技術的な研究は盛んですが、 実用化の面で遅れをとっているようです。 1997年に、法務省が電子署名法の制定に着手して いるのですが、いまだに発行されていません。 シンガポール、香港、韓国といったアジア諸国では、 すでに電子署名法が発効されています。 諸外国にある法律が日本にないというのも 国際関係上よろしくないかと思います。

しかし、ほとんどの日本人は、 特定の企業が提供する電子貨幣などを利用しません。 多くのバーチャルショップも、各店独自の方式を採用しています。 雑誌などで IC カードなどを使った公開鍵についての 安全性の解説はよくあるのですが、 実際その方式が取られている決済方式は、ありません。 おそらくコストの問題でしょう。 電子署名法の制定と同時に、公開鍵 IC カード型電子印鑑 (の発行カード会社)に国の金を使い、 装置の費用や運用の費用が『取引手数料なし』で 1000円程度の年会費でまかなえる会社が現れれば、 IT 社会の実現に急速に向かうのではないでしょうか。


weekly news column 00.10.02
NTTドコモがAOLと世界戦略で提携

NTTドコモは、2000年9月27日、America Online(AOL)との間で、移動通信網と 固定通信網を融合した新しいサービス FMC (Fixed Mobile Convergence) を共同で開発し、世界展開することで合意した。

NTTドコモは、タイム・ワーナーなどのコンテンツを i-mode に取り入れようとしていると考えられるが、 それだけではないようだ。 i-mode は、携帯電話にインターネットをつなぐ機能をつけた だけではない。i-mode の利用料金を通じて、 コンテンツ・プロバイダに料金を回収することができるのだ。 つまり、ビジネスモデル的には、ダイヤルQ2と同じである。 新たに提供される AOLインスタントメッセンジャーと AOL無料メールサービスは、機能的には現在の i-mode でも 同じことができるので、日本ではこの投資により利益が出ることは あまりないであろうが、世界的に中間マージンを取ることにより 利益をあげようとしているのであろう。

これと同じことが、Windows にもいえる。 Windows3.1 から Windows95 になり、ネットワーク機能を強化している。 Windows95 から Windows98 になり、インターネット機能を強化している。 そのための技術を自社開発だけでなく買収によって獲得し、 システムに取り入れている。 この場合、ポータル(まず訪れるところ)のユーザインターフェイスを 持っているところが強い。 しかし、世界の携帯のポータル(つまり本体)を NTTドコモは持っていないところを考えると、 成功するのは難しいのではないかと考えられる。