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2003/06/16

[電子申込み用紙に対応した Adobe Reader 6.0 日本語版がリリース]

2003年6月11日、アドビシステムズ(株)は、PDF ビューアである Adobe Reader の日本語版をリリースした。 バージョンが 6.0 に上がり、名前も Acrobat Reader から Adobe Reader(アドビー・リーダー) に変わった。 もちろん今までどおり無料で使用できる。 なお、Acrobat 6.0 は 7月4日リリース予定。

公式文書の配布といえば PDF ファイルだ。これを見るために、ほとんどの パソコンには Acrobat Reader がインストールされ、ブラウザに次ぐ よく使うツールだ。 それが、6.0 になって、操作性や見やすさが向上したようだ。 拡大縮小ボタンを使い、ページをドラッグしてスクロールすることさえ マスターすれば、ストレス無く文書を閲覧することが出来るだろう。 ダイナミック・ズームを使えば、好きな拡大率に簡単に調節できる。 フォントのスムージングも好みに設定できるため、小さな文字でもかなり 読みやすくなった。 画像にもスムージングがかけて見やすくなった。 検索機能は、開いている PDF だけでなく、いくつかの PDF をまとめて検索 できるようになり、検索結果も一覧できるようになった。

名前が Adobe Reader に変わったのは、PDF 以外のファイルも閲覧できる ようになったからだ。 Flashや MP3 が埋め込まれた PDF(PDF1.5) や、 eBoot も閲覧できるようになった。 また、入力フォームにも対応し、 今まで申込み用紙を印刷して FAX していたものが、直接インターネット で、申し込みできるようになった。 Power Point の無料ビューアが無いため、 スライドショーを PDF にすることが多く、スライドショーらしくなくなって しまっていたが、スライドショー形式のPDF の表示も出来るようになった。 ただし、これらのファイルの作成には、新しい Adobe社製のツールが必要に なるようだ。

この展開は、MSに似た抱き合わせ商法に近くなったと考えられる。 特に eBook の対応は、数ある電子ブック・フォーマットの標準を 狙うものだ。 これをどう考えるかは、読者にお任せする。

フォームに対応したことで、HTML の Web サービスに置き換わる 可能性が出てくることになったと考えられる。 つまり、インターネット のブラウザよりも Adobe Reader をよく使うようになることだ。 しかし、その可能性は、低いだろう。 PDF は、以前からハイパーリンク に対応しているが、新しい Reader でもその操作性は向上していない。 ハイパーリンクが大量にあるページでは、PDFのデータサイズは、 HTMLより大きくなるし、ページジャンプしたときの速度も遅い。 外部ファイルから PDF の途中へのジャンプも相変わらずできない。 そういった文書は、依然として HTML で配布したほうがいいだろう。 HTML は画像ファイルなどがバラバラになるため、圧縮ファイルに まとめられることに多いのだが、このとき Archives Folderizer SV というツールが役に立つ。

相変わらず、PDF は、パソコンで見る検索性に優れたフォーマットではなく、 紙のドキュメントをパソコンで見る、という立場であると見ていいだろう。 フォームに対応したことで、今まで、申し込み先の表現は Web への小さなリンク だったものが、PDF の1ページ全体に大きく表現できるように なったことで、申し込みする人が多少増える効果はあるだろうが、 それだけの違いだ。 検索ツールが強力になったが、基本的に全文検索なので、 検索対象の構成によっては、検索結果の精度に技術的な限界がある。

ただ、ここ最近の技術動向を見ると、キーボードより非効率的な手書き入力や、 読みやすいとはいえない他人の手書き文字が校正に適しているように、効率的な 操作性を犠牲にしても、自然な操作性が求められるようになってきている。 つまり、紙をベースにしていることや、印刷してそのままのイメージになる ことは、以前から PDF の特徴であったが、改めてメリットが認識されるように なるのかもしれない。 HTML のようにページの途中へダイレクトジャンプが できないが、キーワードによる検索の結果表示に適したフォーマットの文書で あれば、文書のやや前半といった右脳的な記憶が出来るので、文書全体の理解が 深まるという考えもできる。 いかに、効率的にパソコンの操作をしやすくするか、 ではなく、いかに紙のようにリアルにあるものをパソコンに取り入れるか であるかが、将来のパソコンに求められることなのではないだろうか。

[リンク]。
アドビ、PDF表示・印刷ソフトの最新版「Adobe Reader」v6.0 日本語版をリリース。
http://www.forest.impress.co.jp/article/2003/06/11/adobereader.html


Keyword解説

『フレーム』

プログラムや Web サイトに送信するためにテキストを入力する ボックスや選択する項目がいくつかならんでいるもの。 ユーザ名や住所や電子メールを入力するものが一般的だが、 検索キーワードを入力するのも該当する。

フォームを用意することにより、単純なハイパーリンク以上の 相互通信が可能になる。 ダイアログ・タイプのアプリケーションの ウィンドウもフォームの一種である。 ブラウザでフォームが サポートされてから、アプリケーション・サーバや ASP という 概念ができた。

フォームを作成するためには、スクリプトやプログラミングの 知識が必須となる。


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